松明堂ギャラリー 望月通陽展「いのちのかたちたち vol.4 鉄」

 4/14 天気が良かったので、自転車で鷹の台の松明堂ギャラリーへ。
 鉄板をプラズマ溶断で切り抜いた望月通陽の作品が展示されている(「鉄」の展示は 4/20 まで)。

 望月通陽氏の作品は、光文社古典新訳文庫のカバーの、あの軽妙な一筆書きの絵が印象的。あのシリーズの文庫が家に数冊あるのだが、ついついその一筆書きを指でトレースしてしまう。そうすると、その線のあまりに自由奔放な動きの不思議さを体感できて、本当に面白いのだ。えっ、こっからこっちへ線が流れるの、ええっ、どうしてこんな順序で形ができてゆくの、おおぉーっ!? と思わず指先のジェットコースター的スリルを味わうことになる。楽しいからやってごらんなさい。
 という遊びはやっていたのだが、実は望月通陽という名前を意識したことはなかった。『風の旅人』で教えてもらうまでは。

 松明堂ギャラリーに展示されている作品も、とても楽しく面白かった。切り抜かれた一枚の板の自由奔放な形は、眺めているだけで何ともいえない気持ちよさと解放感がある。思わずニコニコしてしまうような、楽しい気分。
 重く・固く・冷たい鉄という素材が、軽やかで・柔らかく・温かい何ものかに変貌している、その不思議なギャップ。
 錆が描き出す風味と質感が、作品への親近感を齎す(ヤスリ掛けして錆止めを落とし、腐食剤で錆を促進し、丁度いいところで再度錆止め処理を施してあるそうだ)。思わず触ってみたくなる。触ってもいい作品を教えてもらい、切断面に触れてみたが、その凹凸がとても心地よい。作品の輪郭は、なめらかではなく、ギザギザしている(溶断なので鋭くはない)のだが、それがまたいいのだ。ギザギザが形の存在感をより確かなものにし、かつ浮遊するような軽やかさと柔らかさも感じる(凹凸が、人間が作ったものとして、手の跡の確かな感触を残しているせいだ)。
 作品そのものだけでなく、それが生み出す影もまた面白い。複数のライトが作品を照らしているので、白壁に影が落ちているのだが、その影の淡くぼやけた形が幻想味を帯びて、不思議な懐かしさのようなものを感じるのだ。空を自在に飛び回ることのできる世界へといざなわれる。だからきっと、大人よりも子供の方が、もっと楽しめるに違いない。そんな展示だった。

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Tail-Lagoon @ 13:06

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