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『クローム襲撃』ウィリアム・ギブスン/ ハヤカワ文庫SF
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 ときおり、ここにはだれが住んでたっておなじだという気がすることがある。中が散らかってるという意味じゃない。おれはいくらかロボット的だが熟練したハウスキーパーだから、ポスターの額のてっぺんやなにかまできちんと埃をはらうことを忘れない。だが、ときおり、この部屋と、基本的消費財の基本的集積を見て、軽いさむけを感じる。つまり、べつに猫とか、鉢植えとか、なんだかんだをそこに置きたいってわけじゃないが、ここに住んでる人間はだれだっていいし、こんな品物を持ってる人間もだれだっていい、というような気になる瞬間がある。おれの人生ときみの人生、おれの人生とだれかの人生、なにもかもが互換可能だ、と。

『クローム襲撃』「冬のマーケット」ウィリアム・ギブスン 朝倉久志 訳)

Tail-Lagoon @ 10:36   |   PageUp