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ディックの狂気 »

『火星のタイム・スリップ』P・K・ディック/ハヤカワ文庫
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狂気というのは、ひとつの才能である。人は誰でも望んで狂気を手に入れられるわけではない。狂気を望んだところで、狂気はやってこない(例えば、アンドレ・ブルトン)。狂気は人を選ぶ。狂気は、狂気に選ばれた人間だけが持つことができるのだ。

P・K・ディックは天才だ。『火星のタイム・スリップ』を最初に読んだのがいつだったか? 時期も(もしかしたら20年ほども前のことかもしれない)内容も覚えていない。ただ、何か黒ずんだ不安な雰囲気だけが、漠然と痕に残り続けた。今、再読して、改めてこの小説の恐ろしさがわかった気がする(そして日野啓三との近しさも)。20年近くかけて、ぼくは漸く、ほんの少しだけ、狂気の側に近づくことができたのかもしれない。

Tail-Lagoon @ 23:59   |   PageUp

狂った宇宙 »

『ヴァリス』ディック/創元SF文庫
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 宇宙は狂っている。ディックの『ヴァリス』を読んでいると、それが真実らしく思われてくる。ファットの教義についてなにがしかの納得をしてしまうなら、既に狂気にとりつかれているかもしれない。
 P.K.ディックを読んでいると直感する。生の本質は狂気であり、狂気の本質は死だ。そして、存在の合理的な目的など、宇宙にはないということも。

  
  

Tail-Lagoon @ 20:27   |   PageUp