2008/01/18(金)
「もはや、われわれには引用しかないのです。言語とは、引用のシステムにほかなりません。」
(『砂の本』「疲れた男のユートピア」ボルヘス 篠田一士 訳)
There is nothing but quotations left for us. Our language is a system of quotations.
( A WEARY MAN’S UTOPIA by Jorge Luis Borges. Translated by Andrew Hurley.)
「きみにはこんな経験がないかね? 何かを考えたり書こうとしたりするとすぐに、それについて最適な言葉を記した誰かの書物が頭に思い浮かぶのだ。しかしいかんせん、うろ覚えではっきりとは思い出せない。確認する必要が生じる──そう、本当に素晴らしい言葉なら、正確に引用しなければならないからな。そこで、その本を探して書棚を漁り、なければ図書館に足を運び、それでも駄目なら書店を梯子したりする。そうやって苦労して見つけた本を繙き、該当箇所を確認するだけのつもりが、読み始め、思わずのめりこんでゆく。そしてようやく読み終えた頃には既に、最初に考えていた、あるいは書きつけようとしていた何かのことなど、もはやどうでもよくなっているか、すっかり忘れてしまっているのだ。しかもその書物を読んだことによって、また別の気がかりが始まったことに気付く。だがそれも当然だろう、本を一冊読むためには、それなりの時間と思考を必要とするものなのだから。ある程度時間が経てば、興味の対象がどんどん変化し移り変わってもおかしくあるまい? だがね、そうやってわれわれは人生の時間を失ってしまうものなのだよ。移り気な思考は、結局、何も考えなかったことに等しいのだ」
Filed under: Short Quote | タグ: ボルヘス, 読書
Tail-Lagoon @ 00:00
コメントおよびトラックバック受付中です。
TB : http://weblogs.tail-lagoon.com/Bibliopolis/6/trackback/
この投稿へのコメントは RSS 2.0 フィードで購読できます。
希望の国 - Another Time, Another Way, Another World : 2008/05/29(木)14:06
[...] ゆく。われわれが持つ自我などというもの、半分以上はそうやって上の世代から引き継がれてきた借り物に過ぎないだろう。「言葉とは本来引用のシステムにほかならない」からである。 [...]