飛ぶ女

『パタゴニア』チャトウィン/河出書房新社
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 メンバーは男性だけであるが、緊急のメッセージを運ぶために女性が使われる場合もある。このような役目をになう女性をボラドラと呼ぶ。たいてい信頼のおけるメンバーが、家族の中でいちばん美しい女性を選び、この役目を押しつける。彼女がその役目を果たせなかったときは、もとの生活に戻す。女性の入会儀式は、まず同じような40日間の水浴びから始まる。そしてある晩、森の中の開けた場所で教官と会うよう命じられる。彼女に見えるのはキラキラ光る銅の皿だけである。教官は命令を下すがけっして姿は見せない。教官は彼女に服を脱ぎ、腕を前に差し出してつま先立ちするよう命じる。彼女は苦い味のする液体をひと口飲み、腸を吐き出す。
「皿の中へ! 皿の中へ!」と教官がどなる。
 からだの中がからになった女はすっかり身軽になり、羽を生やして人家の上をヒステリックに叫びながら飛び回る。世が明けると彼女は皿のところに戻り、腸を飲み込んで人間の姿に戻る。

『パタゴニア』チャトウィン 芹沢真理子 訳)

Tail-Lagoon @ 22:49

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