2006/09/24(日)
永劫回帰をひとつの永久機関だと考えてみよう。途方もなく巨大な系だが、それでも完結した閉鎖系のなかでの自足した機械の振る舞いとしてモデル化することは可能な筈だ。
完全な閉鎖系において、外部へのエネルギー流出を考慮する必要がない(なぜなら外部は存在しないのだから)とすれば、あとは系内部のエネルギー変換効率のみ考慮すればよい。この場合、エントロピーの増大だけが、結局問題になってくる。100%の変換効率(エネルギー損失ゼロ)を実現できた場合にのみ、エントロピー増大率ゼロという夢の機関を達成できるのだ。
と、この宇宙を構成するウロボロスは、そんなことを考えながら、相変わらず自分の尻尾を喰らい続け、その驚異的な消化能力と再生能力によって、正確に喰った分の欠如を補い続けていた。自己を丸呑みし続ける自己の完全再生。ウロボロスには、得るものも喪うものもない。あるのは永劫の食餌行為だけ。
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2006/04/29(土)
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1999/06/16(水)
歩き疲れて逆立ちをする男。汗が滝になって彼の真下の影へと流れ落ち、影から海が生まれた。海は拡がってついに男を呑み込み、渦を巻き荒れ狂う。海底がひび割れマグマが吹き出し島が作られた。島は長い年月を経て緑を蓄え獣たちを生み出した。やがて岸辺に一艘の船が流れ着き、襤褸を纏った男が上陸した。男はあるものを探し求めて島中彷徨い歩くのだが、ついに疲れ切って逆立ちをしてしまう。男の汗は大洪水を起こし、島は一夜にして海に沈んでしまった。島を失ったあとも島は、何事もなかったように夜明けを迎え、薄明の中、男が乗ってきた船だけが所在なく水面を漂っていた。それを天上から見下ろしていた女が泣き、涙は豪雨となって海を襲った。水はますます増え続け、惑星の直径を元の倍の大きさにし、臨界を越えた後、自重によって圧縮されていった。そしてできあがったのはぶよぶよした奇妙なゼリーの塊。美味しそう。女は大きな口を開け、ゼリー状の星の塊を一口でたいらげてしまった。嚥下する瞬間、白い喉が妖しく波打ちうねった。惑星は女の消化管の蛇のような迷宮のどこかで消滅してしまった。今は魂のみとなった男はそれを眺めて、もう逆立ちしなくてもいいことに安堵の溜息をもらした。そして永訣の眠りに就く直前の寂しさに囚われて、失ったはずの目を閉じた。女が逆立ちして笑っていた。それとも、魂のみとなってしまった男はまだ逆立ちしているので女が逆さまに見えるのだろうか、それはわからない。だが、それはもう昨日の話。やがて今日が終わり、明日には月が再び男を産むだろう。世界が逆立ちを望む限り、それは決して終わらない。
Tail-Lagoon @ 01:39
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