2005/09/02(金)
累々と積み重ねられつつ流転する「二つの世界」を、一羽の兎が飛び跳ね、行ったり来たりしていた。人間には困難な移動を彼女は楽々とこなし、自由自在に侵犯していた。相反する二元世界が、彼女にとってはたった一つの世界であり、境界も接点も存在しなかった。
だがある日のこと、壊れた虚空で、ついに彼女は時間の恐るべき罠に捕らえられた。彼女はとうとう「過去」と「未来」という概念を知ってしまったのだ。この新しい概念はあまりにも強固に反発しあったため、彼女はもはやそれを飛び越えるのは不可能事であると悟った。
兎は落下した。「二つの世界の狭間」に──「現在」に墜落したのだ。落ちてゆく悲しみに身悶えて、兎は、ピイーッと一声、汽笛のように甲高く啼いた。それがこの稀有な越境者の最期となった。
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Tail-Lagoon @ 00:00
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