その蝶は特別だった。あのひとの亡骸から孵化したのだ、生まれ変わりと信じて皆が崇めても不思議はなかった。その蝶を他と区別する明らかな徴もあった。あのひとの目に酷似した特殊な青の紋様がそれだった。その蝶の為だけに拵えられた温室の宮殿で三度の冬を越し、四度目の春にその蝶は死んだ。盛大な国葬が催された。死骸は丁寧に防腐処理され、宝石を散りばめた純金製の箱に納められ、金剛石のピンで留められた。一方温室では、死の直前に産み付けられた数億の卵から、通常の変態を経ずに孵化した成虫が外へと飛び出し、一斉に国中へと広がった。独特の青い目の紋様は強い視線で民を監視しているように思われたため、次第に気味悪がられた。だが本当は、ただ単に何かを訴えたかっただけなのかも知れない。ある日、かの場所で狂ったように乱舞する大群が発見された。駆けつけた調査団はそこに置き去りにされ忘れ去られたあのひとの白骨を見出だしたのだった。蝶達は献じられた花のように見えたという。

Tail-Lagoon @ 22:00

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