北極熊

 北極熊が日傘を差して、のんびりと歩道橋を渡っていた。見咎める者など誰もいなかった。そのことで熊は非常にいい気になっていたらしい、すれちがう人間どもを太い腕と鋭い爪で薙ぎ倒した。殆どが即死だった。しかし死者達は、五秒後にはもう生き返り、何が起こったのか気付いていない様子で再び起き上がるのだった。北極熊はそんな生還者達に向かってウィンクすると、悠々と次の歩道橋を目指して歩き去った──傘をくるくると片手で器用に回しながら、相変わらず得意気に、のっそりのっそり白い巨体が遠ざかっていった。やがて、甦った被害者達も立ち去り、新たな横断者も現れず、誰もいなくなった歩道橋の上には、まだ赤々と鮮やかに惨劇の跡だけが残されていた。

Tail-Lagoon @ 00:00

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