守宮の王国

 明け方、きょきょきょきょという甲高い奇妙な泣き声が聞こえた気がした。寝苦しさに目を覚ますと、天井に大きなヤモリが貼り付いて、ぼくをじっと見守っていた。黒く丸い瞳が窓からの僅かな光を反射させて煌めいた。するとヤモリはどういうつもりからか、ぼくに驚くべき重大な秘密を打ち明けてくれた。

 このマンションのエレベーターシャフトは、彼らヤモリ族の王国になっているそうだ。誰からも見られない暗いコンクリートの壁一面に、彼らの仲間がびっしりと犇めいて、昼間中じっとしているのだという。そして夜になると、するするとすばしこくシャフトから這い出し、各住戸の寝室に忍び込んでは、今ぼくにしていたように、人々の寝顔を見守っているのだという。

Tail-Lagoon @ 00:00

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